抄録・内容(日) | 本稿では, 既婚の女性派遣労働者に注目して, 派遣労働者の妊娠・出産・育児をめぐる環境について考察を行った。その結果, 以下の5点が明らかになった。①既婚の女性派遣労働者が増加しており, 彼女らの多くは,結婚や子育てといった家庭の要因を優先(もしくは考慮)して派遣労働を選択していること, ②「間接雇用」で「有期雇用」である派遣労働者は, 弱い立場に置かれやすく妊娠等を理由とする不利益取扱い等を受けやすいこと, ③法制度は整備されつつあるが, 派遣労働者は制度の恩恵を受けたり, 制度に守られるケースは少なく, 制度が利用したい人全体には届いていないこと, ④派遣労働者の産前・産後休業, 育児休業からの復帰は, 正規・非正規の直接雇用の労働者よりハードルが高く, 復帰先があるか不透明で不安定な状況であること, ⑤問題が起こった時に静かな「退出」を選択する者が多く, 問題が可視化されていないことである。 |