抄録・内容(日) | 本稿は, 産地が段々と生産をする場になっていくなかで, 産地とは自然(森林), 地場産業(作り手), 市民(消費者), 文化・伝統などから構成された産地社会であるべきという問題意識から出発する. そして, 家具産地を事例に, 地域の木の価値づけという社会的な仕掛けを通して, 地域のさまざまなアクターたちが関係性をつくりながら, 自然と人, 人と人, 人と地域が再構成されるそのプロセスについて考察する. その一つの視点として, 本稿は共通善という概念に注目する. しかし, 共通善は所与のものではなく, 集団において社会的に作られていくものとして, 地域の木が共通善へと形成されるプロセスを, 具体的な事例を取り上げながら考察する. そして, 地域の木の価値は自然と人間, 作り手と作り手, そして作り手と使い手という地域の社会的な関係性のなかで作られるということを主張する. |