抄録・内容(日) | ヨーロッパはECスネイク制とEMS(欧州通貨制度)という域内固定為替相場制度を27年間近く実施した後, 1999年初めからは, 域内固定為替相場制の究極の形である統一通貨「ユーロ」を誕生させるという歴史的な偉業を成し遂げた。その間, 米ドルの価値は大きくスウィングしたが, ヨーロッパは域内共通通貨制度を持っていたため, アメリカの身勝手な経済政策とその結果としての米ドルの不安定によって生ずる悪影響から自らを守ることにかなりの程度成功した。他方, 日本の場合, アジアにおいてはこうした枠組みが全く存在しなかったために, ドルの不安定による悪影響をまともに受けてしまった。これを教訓として, 今後, わが国は, 「ASEAN+3(日中韓)」の枠組みで東アジアの地域協力・統合を強力に推進していかなければならない。「ヨーロッパの場合, 1950年5月の「シューマン・プラン」によって, 宿敵同士の「独仏和解」が実現したことが端緒となり, その後, 「独仏枢軸」によるコア・パートナーシップ(the core partnership)によって欧州統合を推進してきた。独仏両国は, これまでお互いに相手の弱点(フランスの経済力とドイツの政治力)をカヴァーし合う形で, 共同して欧州統合にリーダーシップを発揮してきた。 |