抄録・内容(日) | 満洲語文語において、程度が高いことを表す表現には、alimbaharaku, ambula, asuru, cingkai, dembei, faksa, hon, jaci, labdu, labdukan, mujaku, nokai, umesi, wahaiなどがある。これらは「大いに、極めて、頗る、とても、甚だ、非常に」などと訳され中心的な意味を共有する一方で、修飾対象の選択の範囲、形容詞用法との差異、否定的意味の有無や特定の語彙との共起などの面で、機能的な差違が見られる。本稿では、上記の副詞を(1)汎用語umesi (2)形容詞「多い」の意味を持つ語ambula, labdu, mujaku (3)特化語alimbaharaku, asuru, cingkai, dembei, hon, jaci, nokai (4)例が僅少の語faksa, labdukan, wahaiの4種に分類し、各々の例を挙げつつ特徴を考察した。なお、『三合語録』(1829)の蒙古語文語との対訳では、「多い」という意味で対応するlabduが蒙古語文語のyekeにあたる以外は、語源的に関係のあると見られるasuruやdembeiに対しても、多様な訳語をあてていることが分かった。 |