抄録・内容(日) | 1. はじめに : 昨今の労働環境に目を向ければ, 毎日のようにノルマや残業に押しつぶされながらも何とか持ちこたえている人, そのノルマや残業に無理がたたって肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまう人がいる。一方, 派遣や請負のような労働形態で, 比較的時間に融通が利くはずなのにまるで正社員かのように扱われる人, 正社員ではないということから正社員との処遇間格差が大きく, 働いても働いても常に生活が不安定な人が存在する。その証拠に, 仕事上の精神疾患から労災認定を受ける労働者数は過去5年を振り返ってみると, 2006年度は205人であったのに対し, 2007年度は268人, 2008年度は269人, そして, 2009年度は234人と減少するものの, 2010年度では再び308人にのぼるなど過去最悪な結果を更新し続けている。加えて, このような労働の入り口にさえ立つことができない人が数多く存在していることも忘れてはならない。では, なぜこのような劣悪な労働環境になってしまったのか, どうしてこのような状況で生きなければならないのか。…… |